なぜズルをしてはならないのか

それは、ズルは他人の人格・心を傷つけるものだからです。このことは、本来説明を要しないものであります。ところが、現代には多様なズル現象が存在し、人々を苦しめています。したがって、「ズルなくして生きていけないのではないか。楽をするためにはズルもやむをえない。」と考える方もおられるかもしれません。
しかし、こうした考えが誤りであることは、次の例からも明らかであります。

より楽をして戦争に勝とうというズルな意図のもとに生まれた武器として、核兵器があります。例えば、A国が、楽に戦争に勝つために核兵器を開発したとします。確かに自分のみがズルな核兵器を持っていれば自国の安全を保つことができるのかもしれませんが、「ズルをしても仕方がない」という考え方を前提にすれば、B国も負けじとより高性能の核兵器を開発、保持することになります。そうするとA国も負けじと開発し、第三国のC国もまた開発、保持することになります。
このようにズルは無限に拡大する危険性があるのです。こうなると「もともとズルをしなければよかった」と後悔しても後の祭りです。楽をしようとズルをすれば、それが無限に拡大し、その結果より多くの人を傷つけてしまうことになります。それ故、けっしてズルをしてはならないのです。

これを将棋に置き換えますと、相手がズル熊をやるからといって、すべての人がズル熊ばかりやるようになれば、すべての将棋が相ズル熊になってしまい、そこで将棋の発展は止まったしまい、ついには死滅してしまうということになります。

また、ズル熊は、他人の心だけではなく、自らの心にも大きな否定的影響を与えます。ズル熊ばかりしていると、他人を思いやる心が失われ、鈍感になってしまうという特徴があります。
加えて、常に自分勝手な攻撃ばかり行いますから、日常生活においても短気になったり、攻撃的になってしまいます。
その証拠に、わたくしがただ単に「穴熊はズルである」と本当のことを言ったそれだけのことで、ズル熊党は顔を真っ赤にして烈火のごとく怒り狂ったのであります。まったく常識では考えられない態度であると言えましょう。
かような意味において、わたくしはズル熊の全面的禁止を主張しているわけですが、その理由は、ズル熊党を含むすべての将棋ファン救済のためなのであります。これすなわち、「ズルを憎みて人を憎まず」であります。
皆様方にもぜひ、この人類救済活動に参加していただくことを強く訴えるものであります。


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