最後のNHK杯戦
2*1*年*月*日、多くの人から見放されたNHK杯戦は今日が最後の決勝戦です。視聴率の欄にはいつも計測不能の横線が入っています。今日の対局はM山名人とS藤穴熊王です。二大タイトル保持者の激突です。とはいえ、すでに多くの新聞社がスポンサーを撤退してしまいましたので、タイトルはこの二つだけです。総棋士数は十数名、一時代を築いた羽生元七冠王が突如廃業を表明して以来、廃業者が後を絶たず、奨励会加入者もいなくなりました。
さあ対局が始まりました。今日の解説者はS木九段で、司会者はF森女流名人です。「先生今日の見所は?」「この将棋は4回の指し治し後の5局目です。見所と言ってもありませんが、まああえていうならば、どちらが一方的に穴熊が出来るかというところでしょう。とはいえどうせ相穴熊でしょうから、こうなるとまた千日手の可能性が高くなりますね。」「将棋も限界が見えてきたということでしょうか。」
やはり両者相譲らず、相穴熊となりました。こうなると通い慣れた道。千日手第2局と全く同じとなりました。
F森「ここまではよく見かける形でアマチュアの方もよくさされるようですが、プロの将棋は水面下でいろいろな駆け引きがあるのでしょうね。」
S木「いえ、なにもありませんよ。ここまでは研究会ですでに結論がでていますから。」
F森「ということは、千日手が研究の結論と言うことなのですか?」
そうこうしているうちに、両者はまた飛車を引いたり上がったりの手順を繰り返しました。そのうち、S藤穴熊王が、良心の呵責を感じたのか、手を変えました。
結局手を変えたS藤穴熊王の負けとなりました。
F森「穴熊王の敗因はどこにあったのでしょうか?」
S木「千日手を避けたことでしょう。」
F森「毎回同じ千日手。これが本当の千日手というのでしょうね。」
S木「はっはっは。そういうことになりますかねえ。」
F森「これまで長い間我慢して将棋をごらんになったファンの皆さん。これが最後のNHK杯戦となりました。もう何回やっても千日手にしかならないようですから、もうあきらめましょう。来週からは囲碁の時間が二倍になりますので、そちらに期待しましょう。」
ー終ー